そうそうプリズム(45号)


私の終活

「私のお葬式のアイデアが無いでしょうか?」そんな問いかけをいただいてお会いしたのは、終末医療専門病院のベットの上でした。余命数ヶ月と医師に宣告を受けたその方が、その翌日に考えたのが自分のお葬式だったという事です。
お伺いするとその方の唯一の家族は、施設で介護を受けているお父様おひとりだけ、親戚もなく自分のお葬式を誰がするのか、どうするのかそんな事を考えてしまったようです。
私はこの人のご生涯を良く知りたいと感じていました。そうすることできちんと提案が出来るのではないか、その提案の上で一緒に考えてみたい、そんな事を思いながら雑談のような時間を過ごしていたのを覚えています。
そんな一時間ほどの時間の中で、その方の本当の心配が実は残して逝くことになるであろうお父様のことだということがわかったのです。お話の上その女性のご友人と私は、後日お父さまの入居されている施設までお伺いしたりすることにもなってしまうのですが、それも、ご本人の強い熱意が通じた事に間違いありませんでした。
「私のお葬式のアイデアが無いでしょうか?」そんな言葉でお会いした方でしたが、その女性の心の中には自分のお葬式のアイデアがほしいのではなくて、残されてゆくであろうお父さんに負担をかけさせないようにと、お葬式の段取りから決めておきたいということが、本当のご本人の願いであることが私に伝わりました。
お葬式を事前に考える方は増えております。そしてその方々には同様に言われる言葉があります。「子供達に負担をかけたくないから、元気な今のうちに決めておこうと思って」そんな風に残してゆく家族を慮っての事です。家族のお葬式を考えるのはとてもつらいことなのですが、家族のことを思うと自分自身のお葬式を考える事というのは、辛いと言うよりもよりリアルにきちんと考えておきたくなってくるのかもしれません、それにしてもこの方の気持ちのなんと強い事かと、言葉も自然と少なくなる自分が居ました。
「もっと、いろいろ雑談しましょう。またお伺いします。」そういう私に、「ありがとう」と笑顔をいただけました。いつまでもお話をしていられるようなそんな健やかな表情をされていたのを覚えています。

プリズム


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